全社に広がる「AI効率化」の波

 この「AIによる業務効率化」の波は、今回対象となった管理部門(ホワイトカラー)にとどまらない。

 今回の人員削減発表の直前(10月中旬)、アマゾンは物流現場でのピッキング作業などを自動化する新型ロボット「Blue Jay(ブルージェイ)」や、管理者を支援するAI「Project Eluna(エルーナ)」を発表したばかりだった。

 ほぼ時を同じくして、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が、アマゾン内部で2033年までに50万人以上の職務をロボットで代替・抑制する「75%自動化」計画が進められていると報じていた。

 アマゾンは「ロボットは人間と協働するもの」との立場を崩していない。

 だが、10月28日に公式発表された1万4000人の削減と、メディアが報じる追加削減は、同社がホワイトカラーとブルーカラーの垣根なく、全社的に「AI・ロボティクス体制」へと舵を切ったことを示している。

 パンデミック後の調整という側面を入り口としながらも、実態はAI時代を勝ち抜くための本格的な「選択と集中」である。

 米国最大級の雇用主であるアマゾンのこの動きは、AIがもたらす生産性向上の恩恵と、それに伴う雇用の構造転換という現実を、産業界全体に強く突きつけることになりそうだ。

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