「5400万円」を用意する覚悟はあるか?
安野:相当難しいです。まず、候補者を15名擁立するために、供託金が5400万円ほど必要でした。本格的に時間をつくろうと思えば仕事もストップせざるを得ないし、世論を分断するようなトピックで明確な主張を打ち出すとレピュテーション(評判)リスクも高まります。
「国政選挙に出る」ことに対してこれだけのハードルがあるのに、さらに小選挙区で1位を取れなきゃ受からない、と言われると、敬遠する人が増えて当然だと思います。
──一方で、「ゾンビ議員」の存在など、比例代表制には批判が根強いのも事実です。
安野:もちろん、ゾンビ復活に対して議論はあっていいと思います。ですが、「小選挙区で落としたのに比例で受かりやがってけしからん。だから比例削減は正当だ」という主張が正しいかどうかは別問題です。
先にお話しした通り、新人は小選挙区で当選することが極めて難しい。現実的には小政党は比例からチャレンジするしかありません。
「議員定数削減」を唱えている維新の吉村洋文氏も、2014年の衆院選で比例当選しています。その後、吉村氏が大阪府知事になり、維新が全国的な政党になったのも、比例という入り口があったからとも言えます。
──比例削減は「小政党潰し」になりかねないと。