育成でもプロへの道を勧めるべきか否か…指導者の葛藤
一方、ロッテでクローザーとして活躍した荻野忠寛氏は筆者に、
「育成ドラフトでも、プロに指名されたら入団した方がいい。大学や社会人とは全然違う指導が受けられる。それにプロ野球選手が試合に出るために、いかに綿密に準備をしているか、よく考えて練習をしているか、これはアマチュアでは学べない」
と語った。
どちらも、一面の真実ではあろう。
2017年、ソフトバンクの育成ドラフトは2度目の豊作年になる。
・育成1位 尾形崇斗(学法石川高)
・育成2位 周東佑京(東農大北海道)
・育成3位 砂川リチャード(沖縄尚学高)
・育成4位 大竹耕太郎(早稲田大)
尾形は中継ぎ投手として今年6ホールドポイント、周東は盗塁王4回、23年WBCの準決勝メキシコ戦では快足を見せた。砂川リチャードはファームで5年連続ホームラン王ののち今年巨人に移籍して11本塁打、大竹は阪神に移籍して2年連続二けた勝利。
なお西武と日本ハムは「支配下の70人の選手を育成する方針」のため、当初は育成選手を指名しなかったが、西武は2011年から、日本ハムは18年から育成選手を指名するようになった。
ソフトバンクのような豊作は他球団では見られないが、それでも育成上がりの選手が各球団で活躍するようになる。
同じ17年ロッテの育成1位の和田康士朗(独立L富山)は21年に盗塁王、22年オリックス育成4位の茶野篤政(独立L徳島)は、翌年開幕から支配下で出場しリードオフマンとして活躍、一時期は打率1位になるなどオリックスの優勝に貢献。
そして同じく22年中日育成1位の松山晋也(八戸学院大)は、救援投手として24年に最多ホールド、25年はクローザーのマルティネスが巨人に移籍した後を受けて、抑え投手としてフル回転しマルティネスと共に46セーブで最多セーブのタイトルを分け合った。
トータルでは巨人、ソフトバンクが100人以上の育成選手を指名している。一軍昇格選手も多いが、両球団とも100人以上の選手を保有しているので、昇格をめぐる競争率は高く、昇格率は20%台だ。
なお育成ドラフトで指名されて、入団を拒否した選手は3人しかいない。
・2009年巨人育成3位 陽川尚将(金光大阪高)
・2014年中日育成1位 佐藤雄偉知(東海大相模高)
・2015年巨人育成3位 松澤裕介(独立香川)
陽川は東京農大に進み13年ドラフト3位で阪神に入団。内野手として活躍。佐藤はホンダ鈴鹿に進むもプロ入りせず。松澤は指名直後に故障がわかり指名を辞退。翌年、育成8位で巨人に改めて入団した。
5年ごとの育成での指名数、一軍試合出場数の比率の推移(筆者まとめ)
育成選手は昇格までに数年の時間を要する。20年~24年の昇格率が低いのは、今後昇格するであろう選手が含まれていないからだ。
一時期は昇格する選手が減少したが、ざっくり言えば、2015年以降、育成選手の4割弱は一軍の試合に出場できるようになってきている。