一軍で活躍する選手が出て、育成枠への注目がにわかに高まったが、2009年以降、育成ドラフトで獲得した選手が活躍する率は次第に低下していく。

 ソフトバンクは2008年に育成指名した5選手のうち、4選手が一軍公式戦に出場したが、長く活躍したのは育成2位の二保旭くらいだった。

 この年、ロッテは8人もの選手を育成指名したが、一軍昇格は2人だけ。しかし育成5位の西野勇士(新湊高)は、4年もの間ファーム暮らしを続けたのちに一軍に昇格、先発、救援で長く活躍し、通算38勝・88セーブ、育成ドラフト上がりでは最古参の現役投手になっている。

 またロッテの育成6位岡田幸文(全足利クラブ)は社会人クラブチームからの指名。24歳、すでに妻帯者で指名されて夫人ともども驚いたとされるが、2010年に一軍に昇格すると守備範囲の広い外野手として11年、12年にゴールデングラブ賞を獲得している。

千賀、牧原、甲斐…ソフトバンクの育成選手が空前の大ブレイク

 2010年、ソフトバンクの育成ドラフトは空前の豊作となる。

・育成4位 千賀滉大(蒲郡高)
・育成5位 牧原大成(熊本・城北高)
・育成6位 甲斐拓也(楊志館高)

 千賀はソフトバンクのエースになり、海外FA権を行使して2023年オフにMLBメッツに移籍、1年目に12勝を挙げる。牧原はユーティリティプレイヤーとして活躍したが、今年初めて規定打席に到達し、首位打者に輝く。そして甲斐はパ・リーグを代表する捕手となり、ベストナイン3回、ゴールデングラブ7回、23年のWBCでも侍ジャパンのマスクを被った。今年FAで巨人に移籍。

 対照的にこの年の育成1位から3位までは一軍昇格できなかった。さらにこの年の支配下ドラフトでは、2位でチームの主砲、柳田悠岐(広島経済大)が入団しているが、他の支配下ドラフトで入団した選手はすでに全員退団。スカウトがドラフトで選手の将来を見極めることが、いかに困難かを物語っている。

 こういう成功例を出しつつも、2010年以降、アマチュア球界での育成ドラフトに対する評価は、徐々に低下した。

 有力高校の野球部監督の中には「育成ならうちはプロには行かせない」と断言する指導者も増えた。