変わった警察部署設定が広がった“分水嶺”は?
かつての“警察ドラマ”では、『太陽にほえろ!』(1972~1986年/日本テレビ系)の警視庁七曲署や、『踊る大捜査線』(1997年/フジテレビ系)の警視庁湾岸署などのように、舞台となる警察署自体は架空の設定(後に湾岸署は現実にも誕生しましたが・・・)ながら、部署そのものはそれほど凝ったものではなく、いわゆる“刑事ドラマ”の範疇でした。
その、いわば“分水嶺”となったのは『ケイゾク』(1999年/TBS系)の、「ケイゾク」と呼ばれる、迷宮入りした不可思議な事件を担当する警視庁刑事部捜査一課弐係という架空の部署辺りではないでしょうか。この作品がスペシャルドラマ化・映画化とヒットしたことで「変わった警察の部署設定」に新たな可能性を見出したのではと。ちなみに先述の『SPEC』はこの『ケイゾク』の設定を一部受け継いで制作されていました。
そんな『ケイゾク』『SPEC』の世界観は、ウクライナ制作ドラマのリメイクである『スニッファー~嗅覚捜査官』(2016年/NHK総合)での、警視庁刑事部特別捜査支援室に所属し、現場に残された臭いからプロファイリングする嗅覚捜査官や、また『オクトー~感情捜査官 心野朱梨』(2022、2024年/日本テレビ系)の神奈川県警・東神奈川署刑事第1課強行犯1係に所属しつつ、人の感情が色として見え、取り調べ時に捜査対象を観察し、確認される感情の色をパステルでスケッチブックに記録して、心理状態の変化を読み解く捜査官といった、部署は普通でも、特異なキャラクターが活躍する“警察ドラマ”を多く誕生させてもいます。
連続ドラマの舞台として欠かせない存在ともいえる“警察の部署”。これからどんな設定の部署や特異なキャラの捜査官が登場するのでしょうか? そんな観点から“警察ドラマ”を楽しんでみるのも一興かもしれませんよ。
しかし、どうして警察の部署の名称ってどれも皆、長ったらしいんでしょうかね(笑)。