実在の部署と巧みに融合

 前ページの上記3部署以外は架空なわけですが、実在の部署と絶妙に似せている設定となっているものが散見できるのも面白いところ。例えば『特捜9』の警視庁刑事部捜査一課特別捜査班9係ですが、実際の警視庁捜査一課には第八強行犯捜査班まで存在していることから「9係」を設定したのでしょう。

 また『絶対零度~情報犯罪緊急捜査』の警視庁刑事部捜査一課情報犯罪特命捜査対策室は、2009年に実際の警視庁捜査一課に新設された特命捜査対策室と、2011年にハイテク犯罪対策総合センターからサイバー犯罪対策課に改組された部署を巧みに合わせたものでしょうね。それにDICT (Digital Information Crime Taskforce)という名称をつけている点も憎いです。リアリティをとことん追求するのも、近年の一つの傾向といえます。

増え続ける近未来的設定

 一方でその対極に位置しそうなのが、最近の“警察ドラマ”で増えている近未来的設定。その最たる例が映画化もされる『全領域異常解決室』の警視庁刑事部全領域異常解決室でしょう。こちらは神隠しや狐憑きなど超常現象として世間を騒がす不可解な事件を、内閣官房から直接要請を受け解決に導くという部署。大和朝廷時代から存続している世界最古の調査機関でもあるという設定です。

 また『秘密』の科学警察研究所・法医第九研究室は、解明不能な事件の解決に繋げるための捜査手段として行われる「MRI捜査」で、死者の脳から記憶を映像として再現するという部署でした。

 こうした近未来的設定が増えているキッカケは、『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』(2010年/TBS系)のヒットでしょう。捜査一課が手に負えない超能力などを使った特殊な事件を捜査するため、警視庁公安部が設立した未詳事件特別対策係、通称“未詳”が舞台のこの作品は、後に映画シリーズ化もされました。