地殻変動の“前兆”か

 さらにそれから数カ月後、中国共産党創建95周年記念日(7月1日)に、大手ネットメディアの「テンセントネット」(騰訊網)が、重要講話を述べた習近平総書記に関して、こう報じた。

<習近平が重要講話で発狂した>(習近平発飙了重要講話)

 こちらも中国が騒然となった。それでテンセントネットは直ちに、「発飙」→「発表」と訂正した。

 一応、どちらの単語も「ファービアオ」と同音だが、この時も偶然か故意かと、様々な憶測が飛び交った。その後、テンセントネットの知人に確認したら、編集長が一介のスポーツ記者に降格されたという。

 この2016年の一連の出来事は、翌2017年秋の第19回中国共産党大会(共産党大会は5年に一度開催)を控え、習近平政権が統制を強めている中で起こった。習近平主席としては、社会全体を「安全」にして、党大会で2期目の総書記選出を迎えたいと考えていた時期だった。

 今回も、10月23日に公表された「4中全会」のコミュニケを見る限り、2年後の2027年秋に開かれる第21回共産党大会で、習総書記が「超異例の4期目」を目論んでいることは明白である。それには少なからぬ反発も予想され、水面下で権力闘争が起こってくるだろう。

 桐一葉落ちて天下の秋を知る――引き続き中国情勢を注視していきたい。