Joshua WoronieckiによるPixabayからの画像
AIの予約に満足感が得られないわけ
AIエージェントを活用する際の説明で、決まって登場するのが航空券予約の例です。
プレゼンテーションでも、解説記事でも、AIがあなたの希望を理解して最適な航空券を取ってくれるといった説明が繰り返されています。
私は海外旅行が大好きなので、いつも航空券を予約するときは、ありとあらゆることを考慮に入れてウエブ画面に向かいます。
それでも、思ったような航空券を取れません。
実際に航空券予約という行為を深く考えてみると、これはAIエージェントの代表例としては、むしろ最も不向きな領域であることが分かります。
そもそも、なぜこの「航空券予約」という例が繰り返し使われるのでしょうか。理由は明快です。
誰にでも分かりやすく、未来的な成功イメージを描きやすいからです。
目的地、日程、価格など条件を入力すればAIが最適な選択肢を提示する。一見すれば、まるで夢のような話です。
しかし、実際の旅行者の思考はもっと複雑です。
私たちは安ければいいと口にしながら、長い乗り継ぎや深夜発の便には躊躇します。
同じ目的地でも、季節や体調、同行者によって最適な航空券は毎回変わるのです。
こうした人間の揺らぎを、AIがどこまで理解できるのか定かではありません。そこにこの例の本質的な誤りがあるのです。
なぜなら、航空券の予約は一見シンプルに見えて、実際には人間の価値観・好み・状況判断が極めて複雑に絡み合っているからです。