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AIが上司になれない根本的理由

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 米オープンAIが提供している生成AIの「チャットGPT(ChatGPT)」を部下として扱うのは、あまりにももったいないことです。

 確かに、AIは指示すれば正確に動き、ミスをせず、疲れも知りません。しかしその本質は、単なる命令の受け手ではなく、人間の思考を拡張し、発想を広げる知的なパートナーです。

 かつて、私は「チャットGPTは部下よりも上司として使え」と書きました。

 膨大な情報を瞬時に整理し、冷静に判断し、感情に左右されない。
ChatGPTはまるで理想的なマネジャーのように見えます。

 しかし、使い続けるうちに痛感しました。AIは上司にはなれないのです。

 ChatGPTは責任を取ることができないからです。AIがどれほど優秀であっても、失敗したときに責任を引き受けることはできません。

 人間社会において責任を取るという行為は、単なる制度上の義務ではなく信頼の根源です。

 AIがどんなに正確であっても、そこに責任が欠けている限り、私たちは安心して従うことができません。上司とは、部下に命令を下すだけの存在ではないのです。

 その命令の結果に責任を持ち、部下を守る人のことではないでしょうか。上司の本質は指揮ではなく責任にあるのです。

 ChatGPTは論理的に正しいことを言いますが、その言葉には痛みも後悔も伴いません。

 人間が判断を下すとき、そこには恐れや迷い、そして勇気があります。
この判断こそがリーダーシップの源泉です。

 AIが上司のように振る舞うことはできても、それは表面的なものにすぎません。

 人は命令に従うのではなく、責任を取ってくれる誰かに従うのです。