eコマースで日本は出遅れてしまった(StockSnapによるPixabayからの画像)
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 近年、生成AIの登場によって私たちの生活やビジネスの現場は大きく変化しています。

 数年前まで人工知能といえば、将棋や囲碁で人間を打ち負かすコンピューターや、膨大なデータを処理する企業システムが話題の中心でした。

 しかし今では、テキストの自動生成、画像や映像の生成、さらにはプログラミング支援に至るまで、AIは誰もが簡単に利用できる存在になりました。

 そのため「AIで何ができるのか」という議論はほぼ出尽くした感があります。

 今、求められているのは「AIを使って何をすべきか」を具体的に考え、実行に移す段階です。

技術の広がりと「できること」の飽和

 米OpenAIが開発した生成AI「ChatGPT」をはじめとする対話型AIは、文章の要約や翻訳、プレゼンテーション資料の作成支援などを日常的に担えるようになりました。

 加えて、画像生成AIは広告やデザイン業務の一部を代替し、音声認識や合成技術は顧客対応や教育の現場で利用されています。

 さらに、医療分野ではレントゲンやMRI画像の解析支援、製造業では異常検知や需要予測が現実のものとなっています。

 しかし、「AIで何ができるのか」という観点にとらわれ過ぎると、機能の紹介やデモンストレーションで満足してしまい、本来の課題解決につながらない危険があります。

 かつてインターネット黎明期にも「ネットで何ができるのか」という議論が盛んに行われました。

 しかし、実際に競争力を得た企業は「ネットを使って何をするのか」を早期に明確にしたところでした。

 同じことがAIでも当てはまります。