高市トレードで日経平均株価は一時5万円に迫った(写真:アフロ)
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(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)

 女性初の内閣総理大臣に就任した高市早苗氏。高市政権では積極的な財政政策や緩和的な金融政策を重視していますが、その政策スタンスから株高・円安へマーケットは反応しています。こうした値動きは「高市トレード」として注目されています。

 公明党の連立離脱、日本維新の会の連立参加など、目まぐるしく状況は変わっていますが、現段階では実(じつ)が伴っていませんので、期待外れに終わればマーケットは急速に萎んでいく可能性があります。

 マーケットには暴落がつきものですが、手取り給与が伸び悩み、インフレが進展する時代においては、投資が必要不可欠です。長期的に右肩上がりで成長する株式市場の恩恵を得るためには、投資は長く継続することが重要。

 そのようなマーケットと長く付き合っていくためには、値動きと上手く付き合いながら増やす「資産配分戦略」が鍵を握ります。

 それだけでなく、投資資産は必ず使う時がきます。人間には寿命があり、使える時期も限られています。ただ増やすだけのゲームではないのです。

 取り崩しのしやすさを考えると、株100%は値動きが大きく売却タイミングの難しさがあるため、債券や金と組み合わせた方がベターです。

築いた資産の売却は意外と難しい

 多くのファイナンシャルプランナー(FP)や専門家は、「ライフイベントで引き出す分を売却すれば良い」とアドバイスします。

 しかし、投資家に人気のある「全世界株」や「S&P500」は株価変動リスクに加えて為替リスクもあるため、値動きが大きいので、保有資産の売却タイミングは難しいものがあります。

 資産が順調に値上がりしているならば、「もう少し保有していればもっと値上がりするかもしれない」と思うかもしれません。できるだけ高く売れたほうが嬉しいですよね。

 反対に、保有している資産が値下がりしているならば、「もう少し保有していれば値を戻してくれるだろう」と思い売却は難しいでしょう。このように、売却する際にはジレンマが付きまといます。

「スマホや冷蔵庫といった生活必需品が急に壊れてしまいお金が必要になった」「ケガや病気になってお金が必要になった」という場合には、必要なお金を捻出するために潔く資産を売却できるかもしれません。子供の教育資金のための売却も潔くできるでしょう。

 一方で、余暇資金や老後資金など人生の幸福度を高めるために売却して使うのはなかなか難しいのが実情です。これは、株に100%投資するインデックスファンド投資の弱点だと思っています。

 せっかく築いた資産は使わないと意味がありません。お金は使うことで叶えたい夢を達成し、豊かな経験をすることもできます。家族や友人たちと貴重な思い出を作ることができます。さらに、お金を残して死ぬのは、一番もったいない。

 資産形成をしている間も人生です。人生の幸福度を高めるために、使うことを意識した資産形成がこれからの時代はますます求められていくと思います。