いよいよ始動したトヨタの「ウーブンシティ」。フェイズ1のローンチの式典で挨拶するトヨタの豊田章男会長(写真:筆者撮影)
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(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 トヨタ自動車の「ウーブンシティ」実証実験がスタートした。

 2020年1月に構想を発表した、トヨタが未来に向けた様々な試みを、トヨタが自ら建設する都市空間で行うもので、実際に人々が居住する点がユニークである。

 場所は静岡県裾野市の東名高速裾野IC(インターチェンジ)のすぐ近くで、トヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地だ。

 将来的に活用するウーブンシティの敷地総面積は約70.8万m2(2020年発表時)で、まずは8つの住居棟などで構成される「フェイズ1」(4万7000m2)から実証実験を始めて、その後に「フェイズ2」など段階的に利用エリアを拡大する予定だ。

ウーブンシティのフェイズ1では、8つの住居棟が完成(写真:筆者撮影)

 今回のお披露目では、日清食品、増進会ホールディングス(Z会)、UCCジャパン、ダイドードリンコ、ダイキン工業、共立製薬、そして宇宙産業に関わるスタートアップのインターステラテクノロジズなど、「インベンターズ(開発者)」と呼ばれる企業各社がウーブンシティで行う実証実験の概要について紹介したほか、トヨタからも様々な新型モビリティが紹介された。

 本稿では、そうした新型モビリティに絞って話を進めていきたい。

乗り心地がスムースになったe-Palette

 最初は、「e-Palette(イーパレット)」だ。

 東京オリンピックで使用されるなど、すでに様々な場所で実証実験が行われてきたモビリティサービス向けのバッテリーEVで、ウーブンシティのオープンに合わせて9月15日に発売を開始した。

 ボディサイズは、全長4950mm×全幅2080mm×全高2650mmで車両重量は2950kg。車両の定員は17人で、運転手、4人分のシート、そして立ち乗り12人となる。 

 モーターの最高出力は150kW、最大トルクは266Nmで最高速度は時速80km。搭載するリチウムイオン電池の電気容量は72.82kWhで、直流での急速充電で40分程度充電した満充電の状態で航続距離は約250kmだ。

 メーカー希望小売価格は消費税込みで2900万円から。環境省の「商用車等の電動化促進事業」の対象であり、補助金額は1583万5000円(9月15日時点)となる。

 筆者はこれまでに、e-Paletteの初期モデルや発売を想定したプロトタイプなどに乗員として試乗してきた。そうした過程で、e-Paletteの乗り心地とクルマとしての動きがスムースになったことを実感している。