中国国家統計局が16日に発表した同国の1-3月期実質GDPは、前年同期比+6.1%という数字になった。記者会見した統計局スポークスマンによると、今回の需要項目別の寄与度は、消費が+4.3%ポイント、投資(固定資産投資と在庫投資)が+2.0%ポイント、純輸出が▲0.2%ポイント(ロイター)。
同日午前の東京市場では、日経平均株価が9000円を一時回復するなど、中国GDPが予想比上振れることへの期待感が背景とみられる値動きがあった。だが、統計発表後の市場の反応はネガティブ(それが材料出尽くし感によるものか、市場予想を上回らなかったことへの失望感によるものかは不明確)。ドル/円相場は円高方向に動き、99円割れ。株価は後場に上げ幅を急速に縮小し、一時は前日比マイナス圏になった。
中国のマクロ経済統計については、引き続き混乱がつきまといやすいように思われる。1-3月期の前年同期比+6.1%という数字を、「四半期ベースで統計が発表されるようになった1992年以降で最低」とほとんどのメディアが報じる一方で、ブルームバーグのデータベースには99年10-12月期に前年同期比+6.0%という数字があり(図表1)、同社は「約10年ぶりの低い伸び」と報じていた。
前年同期比+6.1%が市場予想より強かったか、弱かったかについても、見方は一様でない。ダウ・ジョーンズはエコノミスト15人による事前予想の中心を前年同期比+6.0%とした上で、結果はほぼ予想通りとした。一方、ブルームバーグは、エコノミスト13人による事前予想の中心を前年同期比+6.2%とした上で、結果は予想を下回った、とした。
中国がGDP統計の前期比を公表していないことも、混乱につながりやすい。前年同期比の数字の大小からでも、GDPの大まかなトレンドは把握できるものの、比較対象である前年同期の水準感やカレンダー上の特殊要因(うるう年や旧正月など)に影響されてしまう面がある。このため、季節調整済前期比を併せて見ることで、短期的なトレンドを把握したいところである。統計局スポークスマンは、実質GDPの前期比公表を来年から開始する計画があり、現在作業中であることを明らかにした。
GDP統計が四半期ごとの発表で、速報性に欠けることから、金融市場では、中国国家統計局が中国物流購買会とともに毎月公表している、製造業購買担当者景気指数(PMI)への注目度が高まっている。4月2日に発表された3月の中国製造業PMIは52.4(前月比+3.4ポイント)。4カ月連続の上昇によって好不況の分岐点である50の大台を回復したが、これは昨年9月以来のことである。4兆元の景気刺激策や、融資促進策の効果が出てきていると考えることができるだろう。主要先進国や他の新興経済諸国に先駆けての中国PMIの50回復は、同国が世界経済を牽引することへの期待感を、株式市場を中心に強めることにつながっている。