「牛鍋」が庶民に大ブーム!牛鍋屋はコンビニ並みの軒数に

 そして、ついに、肉食が明治政府によって正式に解禁されます!

 1872年1月24日、明治天皇が牛肉を召し上がったのです。

 ただ、その公式な解禁前から、牛肉は「牛鍋」という形ですでに多くの人に親しまれ始めていました。

 牛鍋とは、ダイス状にカットした牛肉と野菜を、味噌や醤油ベースの甘辛いタレで煮立てて食べる鍋料理です。

 日本初の牛鍋屋「伊勢熊」は、肉食が正式に解禁されるより10年前の1862年に、横浜でオープンしています。

 そして解禁後、牛鍋屋は、爆発的な流行を見せます。

 1873年には、江戸の浅草・神田界隈で74軒の牛鍋屋がありましたが、そのわずか4年後の1877年には、558軒もの牛鍋屋が存在したと、『朝野新聞』という当時の新聞に記載されています。

 当時の東京府の人口は約100万人なので、この店舗数を現在の東京都の人口約1420万人の人口比率に当てはめて計算すると、約7920店になります。

 これは、現在の東京都にあるコンビニエンスストアの数と、ほぼ同じくらいの規模です。

 いかに牛鍋が、当時の庶民の日常生活に深く浸透し、大ブームを巻き起こしていたかがよくわかりますね。