大阪公立大学の掲示板に貼られたビラ(筆者撮影)
目次

(韓光勲:梅花女子大学文化表現学部国際英語学科専任講師、社会学研究者)

 文部科学省が大学院博士課程学生への支援の枠組みから留学生を排除する方針を示し、波紋が広がっています。

 文科省方針に反対するオンライン署名は2万筆を超え、一部の大学ではデモも起きています。その一方で、ネット上では文科省のいわば「日本人ファースト」方針を歓迎する世論も多く見られます。文科省の方針は正しいといえるのでしょうか。

 私は2024年度まで日本学術振興会(学振)特別研究員(DC1)として2年間採用されており、博士課程向けの支援を受けていました。学振からの支援がなければ2年間を生き延びることはできなかったと断言でき、国の博士課程支援の施策には本当に感謝しています。学振は今回の留学生排除の施策とはまた別の支援枠組みなのですが、国の複雑な制度を把握している人は少ないと思います。そこで、以下で詳しく解説してみます。

月20万円を支援

 大学院生、特に博士課程学生への支援の必要性については、ここ数年盛んに議論されてきました。従来は国の外郭団体である学振からの支援に限定されてきました。

 学振は博士課程中の3年間、月約20万円をいわば「生活支援金」として支給し、最大で年間約100万円程度の研究費も支給してくれる制度です。