東京大学正門(撮影:川嶋諭)
大学院博士課程の学生に生活費を支給する「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」という制度があります。
文部科学省は7月30日、この対象者から留学生を除外する制度変更を「有識者会議」で大筋の了承を取ったと発表しました。
「有識者会議」とは、行政府で役人が独断で政策案を決定するのでなく、国民主権者から当該分野の適切な専門学識などを持つ人を募り、その討議を経たとして正当性を主張するものです。
メンバーは「御用学者」と呼ばれることがあります。
はっきりそのように記すのは、私自身が過去27年ほど、しばしばこの「御用学者」業も務めてきたからにほかなりません。
「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」は1年あたり最大290万円を博士課程の3~4年間支給するもので、2024年度は国内80大学の1万564人が受給しました。
このうち日本人は約6割で、残り約4割を留学生が占めるとのこと。
報道ではなぜか「最多は中国人の3151人」とされており、微妙なものも感じました。
制度はコロナ禍の最中である2021年度に開始され、従来は国籍要件などはありませんでした。
ところが、年額290万円のうち最大240万円となる生活費部分について、留学生は対象外とする案を「文科省が6月に」提示したとのこと。
ざっくり計算すれば4000人ほどの留学生に年額240万円をケチれば100億円規模の財源を捻出できることになります。
お役人らしい、先見の明を感じさせない施策案と見えます。
ここではまず、この腹案はお役人が準備したものであることに注意しましょう。7月の参院選がどうしたとか、昨今変に流行ってしまった「日本人ファースト」とかいう話ではありません。