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AI時代に生き残る人間の条件

目次

 前編では、GPT-5の登場によって「高報酬・高学歴・高創造性」の職業こそ真っ先にAIに代替される、という逆説について論じてきました。

 弁護士や公認会計士、税理士、コンサルタント、研究者や専門職など、従来「人間の知性の象徴」とされてきた分野が、GPT-5の推論力・知識統合力・文章生成力の前に揺らいでいるのです。

 では、この流れが加速するなかで、人間が生き残る道はどこにあるのでしょうか。

 答えを探るためにはまず、「創造性の神話」がどのように崩れたのかを直視する必要があります。

創造性の神話が崩れた

 これまで多くの専門家や教育者は「最後に残るのは創造性だ」と語ってきました。

 定型的な事務作業や単純労働はAIに奪われても、芸術や発想、独自のアイデアは人間だけの領域だと信じられていたからです。

 しかしGPT-5は、この「最後の砦」を容易に乗り越えてしまいました。

 広告コピーを量産し、映画の脚本を構想し、音楽を作曲し、デザイン案を提示します。

 しかも、ただ模倣しているわけではありません。

 過去の膨大なデータをもとにしながら、新しい組み合わせや意外性のある発想を提示できるのです。

 人間の「ひらめき」と呼ばれてきたものを、AIは高速かつ大量に再現します。

 例えば新商品のキャッチコピーを考える場面を想像してください。

 人間が数時間かけて数案を出すところを、GPT-5はわずか数十秒で数百案を提示できます。

 さらに、対象となる消費者の属性や購買データを加味して「刺さりやすいフレーズ」を自動でランキングすることも可能です。

 人間の「経験」と「勘」に頼っていた領域が、データと計算に基づくAIによって最適化されつつあります。

 ここに、「創造性はAIには奪えない」という従来の神話が成立しなくなった現実があるのです。