写真:VCG/アフロ
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 日本時間、2025年8月8日午前2時。多くの経営者にとっては通常の業務時間外かもしれません。

 しかし、この瞬間をリアルタイムで見届けた者は「歴史の転換点を目撃した」と口を揃えるでしょう。

 その発表は単なる新製品リリースではありませんでした。

 それは、地球上で最も賢い存在が“人間”ではなくなったことを宣言する、いわば文明史のページをめくる瞬間でした。

 本稿では、米国のOpenAIが発表した生成AIの最新版「GPT-5」の概要と革新性、そして企業経営にとっての即時導入の理由を、経営者の視点で解説します。

 この記事を読み終える頃には、あなたの経営判断において「導入するかどうか」ではなく、「どう導入するか」が主題になっているはずです。

プロローグ:経営の常識は書き換えられた

2025年8月8日 午前2時(日本時間)

 世界各国の研究者、経営者、クリエイター、そして新しい技術に敏感な一般ユーザーまで、数億人の視線がオンライン上の同じ一点に集まっていました。

 場所は米国サンフランシスコ。

 OpenAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)が歴史に残る言葉を発します。

「ついに、GPT-5を公開します」

 その声は、瞬く間に世界中へ拡散しました。アルトマン氏はこれまでの進化をこう例えます。

●GPT-3は高校生
●GPT-4oは大学生
●GPT-5はあらゆる分野で博士レベルの専門家

 すでにChat(チャット)GPTは週あたり7億人が利用しています。その中核が、この瞬間からGPT-5に切り替わりました。

 そして発表の中で、経営者の視点から見れば極めて象徴的な変化が一つありました。すべてのモデル選択がUI(ユーザー・インターフェース)から消えたのです。