副業には様々なメリットもある(aholymanによるPixabayからの画像)

前編から読む

 大企業に勤務しながら副業を成功させるというのは、多くのビジネスパーソンにとって憧れでありながら、なかなか実現が難しい課題でもあります。

 会社の看板に頼らず、自身のスキルや情熱を純粋に社会に還元して成功するためには、一体どのような心構えや工夫が必要なのでしょうか。

 後編も前編に続き、日本を代表するICT企業でエバンジェリストとして最前線で活動をしながら、見事に副業を成功させている、ビジョン・コネクト(Vision Connect)合同会社の野口圭氏と石川和也氏へのインタビューを通じて、その秘訣を探ります。

起業に向けての歩み

 共に活動し始めるようになり、相乗効果で今までになかった新しい取り組みへのチャレンジができるようになっていきます。

 一例としては、多くの大企業においてエンゲージメントの向上が重要な経営課題に上がる中、彼らが新たに仕掛けたのは、自身が所属する10万人を超えるICT大企業のインナーブランディング施策です。

 そこで過去にない斬新なコンセプトを掲げます。

 それは「本音・ユーモア・分かりやすい」の3つを兼ね備えた教育コンテンツの企画でした。

 この3点を軸に同社の事業内容・戦略を多くの社員に伝え、心を躍らせ、アクションを醸成することを目的とした教育エンターテインメント番組が誕生しました。

 経営に資する話題から各事業の中身まで、難しい内容を分かりやすくかみ砕いて解説する内容構成と、説明が難しかったり、腹落ちできない話がゲストから出たときは、視聴者の声を代弁し、ユーモアを交えながら石川氏がゲストに「全然分かりません」というキラーワードをぶつけます。

 大企業の中では、とても言いづらい、そのワードを素直にゲストにぶつけ、ゲストの返答を野口氏が明快に要約・説明していくという、テンポのよいコンビでの番組進行・モデレートスタイルは、瞬く間に視聴者数を上げていきました。

 聴講者を主体的に巻き込みながら、社員の次の一歩・アクションを踏み出すきっかけになってほしいと立ち上げた「一見して非合理」なこの番組は開始から4年目を迎え、社内メディアとしては、唯一無二のポジションを確立しています。

 同時に、野口氏、石川氏にとっても自己実現の場となっています。

 また、エバンジェリストとして、社内のみならず社外に向けても野口氏と石川氏はお互いの行動や考え方に触発されながら様々な活動に取り組んでいきます。

 外部発信が増えるにつれ、評判を聞いた様々なクライアントからの依頼も増えていきました。

 各種講演依頼や、イベント協力依頼、アカデミア関係者からの講演依頼など、2人の活動範囲はさらに広がりを見せていきます。

 そうした中、学生との交流を通じ、若者たちとのコミュニケーションの重要性や教育の在り方に興味を抱いたと言います。