石破茂首相(右)と平将明デジタル大臣(4月4日衆院内閣委員会で、写真:つのだよしお/アフロ)
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 7月29日、自民、公明両党は幹事長級の会合を開き、海外からのSNSを通じた選挙介入などを防ぐため、法改正も視野に規制強化を検討する考えで見解が一致した、との報道がありました。

 何をいまさら・・・という、遅きに失した感が否めません。

 先の参議院選挙においても、「(外国からか、あるいは国内諸般の政治勢力の可能性も含め)選挙介入の疑いがある不自然な投稿拡散が確認されたことを踏まえたもの」だというわけです。

 同様のステートメントは、投票直後の7月22日に平将明デジタル大臣からも出されていました。

 しかし、こうした「不自然な投稿拡散」が「確認」されるのは、常に事後的、つまり「後の祭り」が前提の「法改正も視野に入れた規制強化」にしかなりようがありません。

 この原罪的な限界を最初に確認しておきましょう。

 すでに投開票の終わっている参院選では、参政党や国民民主党が躍進したことは周知の通りです。

 これをもとに、自民党内では「石破茂首相の責任」を問う「おろし」の動きが盛んであると同時に、田原総一朗氏によれば「前代未聞」という「石破ガンバレ」の国会前集会が開かれるなど、未曾有の状況を呈しています。

 自民党内には「民意を反映して辞職せよ」から「石破留任は実質クーデター」などという極論まで様々な意見が出ているようです。

 少し考えてみてください。

 仮に、未来の「改正・公選法」で、何らかの違法行為が明るみに出、票の上では多数を取っても失職対象となる「当選者」が大量に出たとしたら? 

 つまり、いま「躍進」したことになっている政党や候補者の結構な数が、正確な民意の反映ではなく、意図的に誘導された不正票と疑われることになったら?

 短兵急に「民意の反映だ~」と騒ぐ連中は何をやっているか、という話になりかねません。

 現状では技術的にも、また法的にも、こうした「検挙」が正確に行われる地盤は確立されていません。

 しかし、中長期的に電子投票の制度化などが進めば、状況はさらに錯雑としたものになる可能性が懸念されるでしょう。

 現に私自身、メディア情報の専門的観点からは、今回の参院選のみならず、2016年以降の米国大統領選挙結果など、どこまで「正当」な選挙が実現されたか分からないと思っています。

 結果的に、政治日程に大きな空白を作らないように折り合いをつけている「片翼飛行状態」を疑っています。

 そんな疑念の晴れない「参院選」結果を受けて、直ちに政権を放り出すなど、行政の継続性、一貫性を考えれば非常に危うい仕儀と言わねばなりません。

 先ほどの田原総一朗氏も「自民党のためではなく日本のため」に石破氏の続投を応援していました。

 情報専門家の観点からは、選挙全体を司る総務相、村上誠一郎氏の「正気ぶり」は際立っており、ぜひ「ネット選挙」が米国型の混乱に陥らないよう、健全な施策を期待したいところです。