参院選の結果を受け記者会見する石破首相(写真:共同通信社)
(山中 俊之:著述家/起業家)
「地球じゃないみたいだな」
アイスランドの空港から首都レイキャビクに向かうバスの中で感じた第一印象である。
7月中旬に、世界で最も北に位置する首都であるアイスランドのレイキャビクに滞在した。アイスランドは火山が多い。火山から流れた溶岩が大地を覆っている独特の地形と植生が広がる。
「アイスランドの森林で迷子になったらどうすればよいか」「立ち上がればよい」というジョークがあるくらい草木が少なく、あっても低木だ。アイスランドは欧州で最も森林面積の割合が少ない国である。
アイスランドを訪問して改めて感じるのは、北極圏の近さだ。
レイキャビクは北緯64度に属し、北極圏までわずかの距離にある。7月中旬はほぼ白夜になる。
かつて氷の海の面積が大きかった北極圏であるが、温暖化で氷が溶けて天然ガスなど豊富な鉱物資源の開発が容易になった。天然ガスやレアメタルなど北極海の資源をめぐる争いが激化してきている。
同時に、安全保障上の重要性も高まっている。
米ソ冷戦時においてもアイスランドの地政学的な重要性は高かった。地理的に米ソの中間地に位置しており、ソ連の原子力潜水艦の監視の最前線であった。アイスランドは、NATO(北大西洋条約機構)の原加盟国であり、長きにわたり米国基地があった(2006年に撤退)。
北極海の解氷に加え、ロシアのウクライナ侵攻以降の米露対立の激化で、アイスランドの安全保障上の重要性は大きく上がっている。
トランプ米大統領が買収を主張しているグリーンランドは、アイスランドと至近の距離にある。北極海に近い北大西洋地域は気温も安全保障上も熱くなっており、目が離せない状況だ。
さて、このアイスランドで特筆すべき点が、ジェンダー平等の世界最先進国であることだろう。世界経済フォーラム(ダボス会議)のランキングでは、15年連続で世界1位である。