ロンドンにある米大使館近くのバス停にエプスタイン、トランプ両氏の写った写真を設置する英国の活動家(7月17日、写真:AP/アフロ)

「少女買春顧客リスト」にトランプの名前?

目次

 ドナルド・トランプ米大統領は7月18日、少女らへの性的虐待罪で起訴され獄中で自殺した、富豪で旧友のジェフリー・エプスタイン元被告(享年66)の事件を巡り、大陪審の起訴資料の公開を裁判所に請求するようパム・ボンディ司法長官に指示した。

 なぜ、トランプ大統領はこのように指示せざるを得なかったのか、また、いったいエプスタイン氏とは何者か――。

 不動産、カジノ経営から億万長者になったトランプ氏は、出世街道をばく進する過程で多くの政財界人と親交を深めていった

 その中には怪しげな人物もいた。

 その一人が、数十人の少女に政財界の大物たちのセックス相手をさせた容疑で起訴され、判決前に拘置所で自殺したエプスタイン元被告だった。

 米国では、州によっても異なるが、未成年者に対する性的虐待、未成年者買春斡旋は最高刑は無期懲役を科される。

 エプスタイン元被告には最長45年の禁固刑が科せられる可能性があった。

Southern District of New York | Jeffrey Epstein Charged In Manhattan Federal Court With Sex Trafficking Of Minors | United States Department of Justice

 さらに問題なのは、エプスタイン元被告が後生大事に保管していた「顧客リスト」の存在だった。

 親しかったトランプ氏の名前はあるのか。現職大統領が少女買春をしていたとしたらどうなるか。

 ジョー・バイデン前大統領は終始、顧客リスト公開には消極的だった。

 民主党大物政治家の名前があるとの憶測が流れており、躊躇したと見る向きもあった。

再燃した「少女買春顧客リスト」

「少女買春顧客リスト」が再浮上したのは、トランプ第2期政権発足直後、女性としては史上3番目の司法長官のパム・ボンディ氏が、記者の質問に「今、私のデスクの上にある。これから精査するつもりだ」と答えたからだ。

(ボンディ氏は、トランプ氏からこの発言について激しく面罵され、その後顧客リストの存在を否定している)

 だが、いったん火のついた顧客リスト問題は収まらなかった。

 ついこの間までトランプ氏の片腕として連邦政府効率化に尽力し、その後、決別した億万長者のイーロン・マスク氏はこう言い切った。

トランプ氏がエプスタイン関連文書の公開を恐れているのは顧客リストに自分の名前があるからだ」

 政府効率化省(DOGE=Department of Government Efficiency)の長として各省庁の機密情報を収集し精査した過程で、「顧客リスト」を入手したことは容易に想像できる。

 トランプ第1期政権で行政管理予算局長や大統領首席補佐官代行を務めたミック・マルバニー氏(元下院議員、元上院議員)は7月16日、メディアとのインタビューでこう言った。

「顧客リストにトランプ氏の名前が載っていた。トランプ、バイデン両大統領ともに顧客リストの公開に躊躇したのは、共和、民主両党の大物議員の名前があったためだと思う」

Trump Ex-Chief of Staff Makes Bombshell Claim About Epstein Files