生命保険にも世代間格差の問題が潜んでいる(写真:Nobuyuki_Yoshikawa/イメージマート)
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(我妻 佳祐:ミニマル金融研究所代表)

 7月20日に参議院選挙が実施されました。結果は与党である自民・公明が非改選議席を合わせても過半数に届かないという惨敗で、これで、自民・公明は衆議院、参議院ともに過半数を割り、政権運営の難しさが増しています。

 少数与党のまま不安定な政権運営を続けるのか、新たな連立の枠組みができるのか、それとも政権交代となるのか、今後の推移を見守りたいと思います。

 さて、今回の参院選で野党が躍進した理由のひとつとして、世代間格差に対する不満という要素が指摘されています。要は、「若者の負担が重すぎる!」という不満が爆発して、このような結果になったということです。

 実際、社会保険料の負担率は2000年から2024年までの間に9.1%から11.9%に増大しており、勤労者の負担が増えているのは間違いなさそうです。

【図】勤労者世帯の収入に対する負担率の推移

出所:「家計調査から見る現役世代の税・社会保険料負担~社会保険料引き上げの「負のループ構造」からの脱却を探る~」,谷口智明,第一生命経済研究所 https://www.dlri.co.jp/files/ld/431496.pdf

 しかも、日本の年功序列システムでは若者は「不当に」とはいわないまでも、「不自然に」給与を抑制されており、中高年になってからの給与で取り戻す仕組みになっているわけですから、そこまでのビジョンを持てない若い世代に不満がたまるのもやむを得ないところでしょう。

 とはいえ、これから社会保障費が増大していくことも避けられない現実です。誰かがそれを負担しなければならないのは単なるファクトなので、その負担のあり方をしっかり考える必要があります。

 さて、社会保障費については本題ではないのでこのくらいにしておくとして、今回は、生命保険業界に存在するものすごく巨大な世代間格差の話をしようと思っています。それが「逆ざや問題」です。