老後資金、死ぬまでにうまく使い切るには?(写真:Dilok Klaisataporn/Shutterstock.com)
(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)
お金はないよりはあったほうが幸せなのは間違いないでしょう。しかし、際限なくお金を増やし続け「富の最大化」を目指すことは、筆者は幸せではないと考えています。
過去の記事「資産1億円でも不幸になる残念な人とは…「お金」と「幸せ」のホントの関係、先行研究とデータが示す投資ブームの罠」では、お金を使う価値が高い「若いうち」に、人生の幸福度を長く高めてくれるモノにどんどん使っていこうという話をしました。
今回は、その「幸福の最大化」を目指す、資産の減らし方・取り崩し方を一緒に考えていきましょう。
お金を使わずに残していく人は実際多い
老後のためにせっかく貯めたお金をうまく使えていないという現状があります。
内閣府「令和6年度 年次経済財政報告(経済財政白書)」によれば、20代以降は歳を重ねるほど資産額が増え、60〜64歳でピークを迎えます。65歳時点の平均値は1800万円、中央値は1000万円です。しかしその後は資産額があまり減らず、80歳時点で1〜2割程度しか減っていません。
<年齢階層別の資産の保有状況>
お金を貯めることはできても、上手に使うことができない人が意外と多いことがわかります。
MUFG資産形成研究所によると、親から自身が相続した財産額の平均値は3273万円(中央値1600万円)です。相続した現預金の約3分の2は「預貯金への預け入れ」にまわっているとのことです。
若いときにお金を使えず、老後までお金を貯め、使えずに亡くなっていく様子が相続のデータからも見てとれます。


