
死を目前にして名乗った本名、「桐島です」
2024年1⽉26⽇、1970年代の連続企業爆破事件に関わったとして指名⼿配されていた「東アジア反⽇武装戦線」メンバー、桐島聡容疑者(70)とみられる⼈物が、末期の胃がんのため、神奈川県内の病院に⼊院していることが判明した。「ウチダヒロシ」と名乗っていた男は⼊院時にもこの名前を使⽤していたが、「最期は本名で迎えたい」と語り、約半世紀にわたる逃亡の末、報道の3⽇後、29⽇に亡くなった。
謎に満ちた桐島聡の軌跡を描いた本作は『桐島です』ではなく、『「桐島です」』。偽名で生きてきた男が心の中でずっと名乗りたかった「桐島です」という一言がタイトルに付けられている。
1970年代、⾼度経済成⻑の裏で社会不安が渦巻く⽇本。⼤学⽣の桐島聡は反⽇武装戦線の活動に共鳴し、組織と⾏動を共にする。

しかし、一連の連続企業爆破事件で犠牲者を出したことで、深い葛藤に苛まれる。組織は警察当局の捜査によって、壊滅状態に陥り、指名⼿配された桐島は偽名を使い逃亡。やがて⼯務店での住み込みの職を得る。

「狼」「大地の牙」「さそり」の3つのグループの連携。「腹腹時計」のマニュアルを元に素人の若者たちが爆弾作りに勤しむ。当時の事件や風潮、思想等に詳しくなくても、わかりやすく物語は進む。