取り組み詳細2:生成AIが配送ドライバー支援、専用メガネも開発中
配送業務においては、生成AIを活用してより高度な配送地図をドライバーに提供する。
この特製マップは、建物の形状、配送先の障害物、その他荷物配達に必要な詳細情報をリアルタイムで表示する。
これにより、特に大規模なオフィスビル群や複雑な構造の集合住宅など、「厄介な場所」での配送効率を大幅に向上させるという。
アマゾンの地理空間情報部門バイスプレジデント、ヴィラージ・チャタジー氏によれば、この地図情報は米国内の配送ドライバーによって既に日常的に利用されており、特に大規模な集合住宅や新興住宅地で効果を発揮している。
英ロイター通信によれば、アマゾンは、この地図技術を応用し、ドライバーがハンズフリーでナビゲーション情報を得られるスクリーン埋め込み型の特殊眼鏡を開発中であることも認めた。
この眼鏡が実用化されれば、GPS(全地球測位システム)端末の操作から解放され、運転中や荷物運搬中の安全と効率向上が期待される。
ただしチャタジー氏は、この眼鏡のハードウエアは「完成には程遠い」と述べている。
アマゾンは、配送員の多くが契約ベースであることから、この新しい地図ソフトウエアの使用を義務付けてはいない。
これは、ネットを介して単発の仕事を請け負うギグワーカーに対する過度な管理が問題視されることへの配慮とみられる。
需要予測から音声アシスタントまで
アマゾンは、AIを活用して顧客が何をいつ必要とするかをより正確に予測し、在庫配置を最適化することで、当日配送サービスを一層強化する方針だ。
このAIシステムは、価格、利便性、天候、さらには「Prime Day(プライムデー)」のような大型セールイベントといった多様な要因を考慮するという。
アマゾンのAIラボは2025年初めにウェブブラウザーベースのAIエージェントを発表しており、クラウド部門、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)も独自のエージェンティックAIグループを抱える。
3月にAI機能を強化して一部で提供が始まった音声アシスタント「Alexa+(アレクサ・プラス)」にも、将来的にはいくつかのエージェンティック能力が搭載されることが期待されている。
アマゾンは、エージェンティックAIなどの最先端技術を物流網全体に活用し、多岐にわたる目標の達成を目指す。
具体的には、顧客体験の向上、運営効率の最大化、持続可能な物流体制構築などが挙げられる。
ロボットの導入計画や新技術の実用化には時間を要するだろう。それでも、同社の積極的なAI投資は今後の物流業界のあり方に大きな影響を与えそうだ。