米国は日本の希望通りに動かない
「市民を守ることが最優先課題です。日本の首相として、まずは原子力規制委員長に避難人口の算出を頼みました。元韓国原子力安全委員長のカン・ジョンミン氏作成の拡散想定を使いました。風が日本に向かって吹いており、1000万人の避難が必要と判断しました。外務大臣と防衛大臣に情報収集を依頼しました。米国には、避難と原子力の安全のために援助を頼みます」
しかし、米国は日本の希望通りに動かない。福島原発の事故時のように救援隊の派遣は了承するものの、住民の避難に関する支援は渋り続けた。逆に、「中国・北朝鮮攻撃」を打ち出す声明への参加を求められていく。
「米国は日本と韓国に『軍事攻撃についての共同声明を出すので、一両日中にサインしてほしい』と要求してくるんです。日本は韓国と相談するけれど、その際、『日本政府が軍事行動に参加することについては、平和憲法がある。憲法9条です。そして、安保法制に基づき、国会の承認がない限り我々は派遣できない』と伝え、時間稼ぎをすることにしました。『本当に日本の存亡に関わる危機であると国会が承認しなければ、日本は動けない』と韓国、米国に伝えました」
「米国には『ドローン攻撃が本当に北朝鮮によるものだという証拠を』と要求しました。しかし、なかなか情報をくれない。困ってしまって、結局、『証拠がない限り、日本政府としては軍事協力できないと断った』というところで机上演習は終わりました」
古里原発への攻撃に伴う、日本国民の避難。これは、どのように進んだのだろうか。
「西日本全体が放射性物質で覆われ、1000万人が避難する想定で行いました。この人たちは、日本国内に逃げる場所がなく、海外に行くしかない。そこで近隣諸国に避難民の受け入れを要請しました。『大量の避難民を海外に避難するための空輸、船で運ぶという経験が日本にはない。だから、船や飛行機を出してほしい』と頼むのです。オーストラリアや東南アジアにもお願いするんですが、なかなかうまくいかない。難航しました」