「イランの現政権はこの地域に真の友人を持っていない」

 イスラエルが6月13日に開始した「ライジング・ライオン作戦」でイランの防空能力は弱体化された。これによりステルス戦略爆撃機B-2で3万ポンドの大型貫通爆弾(バンカーバスター)GBU-57をフォルドゥの地下核施設に投下して攻撃するのが容易になった。

ステルス戦略爆撃機「B-2」(写真:ロイター/アフロ)

 米紙ニューヨーク・タイムズが政府高官の話として速報したところによると、B-2爆撃機6機がフォルドゥにバンカーバスター12発を投下し、潜水艦からナタンズとイスファハンに巡航ミサイル30発を発射した。ナタンズにはB-2爆撃機1機がバンカーバスター2発を投下した。

地中貫通爆弾「バンカーバスター」の装填訓練をする米軍兵士(写真:ロイター/アフロ)

 それ以上に大きかったのはイランを取り巻く環境だ。イスラエル・ハマス戦争の長期化でイラン代理勢力のイスラム武装組織ハマス、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが弱体化し、シリアのアサド政権は崩壊した。イランを攻撃する千載一遇のチャンスだった。

 英有力シンクタンク「王立国際問題研究所」(チャタムハウス)のリナ・ハティブ客員研究員(中東・北アフリカ)は米誌タイムへの寄稿(6月19日付)で「イランの現政権はこの地域に真の友人を持っていない。その責任はイラン自身にある」との見方を示している。