以下は韓国大統領府が発表した両首脳間の通話内容だ。

「まずトランプ大統領は李在明大統領の大統領選挙勝利を祝いました。李在明大統領はトランプ大統領の祝賀に謝意を表し、大韓民国の外交の根幹である韓米同盟の重要性に言及しました」

「両大統領は韓米間の関税協議に関連して、両国がともに満足できる合意が早期になされるよう努力していくことで意見が一致しました」

「トランプ大統領は李大統領を米国に招待し、李大統領は韓米が特別な同盟国として頻繁に会って協議することを望んでいると答えました」

「今日の通話は、親しみやすく隔意のない雰囲気の中で行われ、両大統領は大統領選挙の過程で様々なエピソードや経験も交わしました。特に、お互いが経験した暗殺の危険性と政治的困難についても意見を交わし、困難を乗り越え、強力なリーダーシップが生まれるということに共感しました」

「韓米間の敏感な懸案を調整するため」という大統領府のこれまでの弁解が色あせるほど、通話内容は歴代大統領と大同小異な挨拶の言葉ばかりで、通話時間においても、文在寅-トランプ間の30分間よりも短い20分余りで終了した。

なぜ3日も待たせたのか

 では、米国はこの当たり障りのない挨拶を伝えるために、なぜ韓国大統領を3日間も待たせたのだろうか。

 韓国の保守層からは親中派として知られる韓国の新大統領に対する「手なずけ」という分析が出ている。今回の首脳間の電話会談だけではなく、李在明大統領の当選直後から、米国ホワイトハウスの反応が非常に異例だったためだ。

 まず米国時間で6月3日、韓国の「聯合ニュース」が伝えたホワイトハウス関係者の韓国大統領選挙に対する論評が韓国で大きな物議をかもした。匿名のホワイトハウス関係者から、「韓米同盟は堅固に維持されるだろう。韓国は自由で公正な選挙を行ったが、米国は全世界の民主主義国家に対する中国の介入と影響力行使に対しては依然として憂慮し反対する」というコメントを受けたという内容だった。

 このコメントは、中国が韓国の大統領選挙に影響力を行使しようとした可能性があるというニュアンスを漂わせながら、韓国の新政府に対する中国の影響力行使を牽制(けんせい)したものとも読める発言であり、中国からはさっそく「中韓関係を仲たがいさせるな」という反発が起こった。