ただ、その場合でも、このアプリをどんなプラットフォームで使用するのか、自衛隊のどの段階での訓練で使用するのか等を考えながら自衛隊内部の誰に働きかけるのかという点に関して、楽天にはノウハウもコネクションもないでしょう。

 来場していた自衛隊関係者の中で、そうした部署と関係を持つ方がBrave1ブースを訪れていればよいのですが、そうでなかった場合、興味を持った自衛官をたどり、必要な部署にアクセスしなければ契約には結び付きません。

 全自衛官への訓練ツールとして有用な上、プラットフォームの柔軟性もあるため、予備自衛官の召集訓練を一部リモート化するなどの制度を導入しながら、全自衛官に使用を義務づける等が有効ではないかと感じました。各幕の衛生部長、首席衛生官などにアクセスできれば契約に結び付くかもしれません。

 それ以外の展示は、なぜこの企業が選抜されたのか、疑問に思う企業もありました。どの企業も優れた技術を持っています。しかし、日本とウクライナの戦略環境の違い、防衛調達のスケジュール感などが考慮されていないと感じたためです。

 個人的には、ウクライナと日本が防衛分野で協力できることが望ましいと考えています。以前に筆者が小説で描いたように、自衛隊で退役が決まった潜水艦をウクライナ軍に供与するような動きができるためには、小さなものからで構わないので契約に結び付くことを願っています。

 楽天が、今後も継続してBrave1を支援していくなら、指摘したような問題に関して指南できる防衛コンサルティングのような態勢を作るべきだろうと思います。