現在進行形で防衛戦争を戦っているウクライナ軍では、部隊のニーズは恐ろしい勢いで変化しています。そのため、中央調達で多くをまかなった場合、部隊のニーズと補給される資機材のミスマッチが生じてしまうことになります。
そのため、中央で調達されるものは、戦闘機や装甲車両といった高価な装備ですが、それらが高価であるにもかかわらず、その比率は6割に過ぎず、4割は現場部隊のニーズに基づき、柔軟な予算使用が可能となっています。
その4割を使用し、部隊にドローンなどの必要な資材を提供する仕組みがBrave1 Marketなのです(小銃なども、この4割から)。
この補給調達の仕組みだけを見ても、本邦の防衛省・自衛隊には異次元の世界です。ですが、国の存亡をかけて戦っているウクライナには必要なものです。
Brave1ブースは「Powered by Rakuten」
このブースは「Brave1 Powered by Rakuten」と書かれており、ブースにいる日本人の多くは楽天社員でした。
楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、個人でウクライナに10億円を寄付する他、林芳正外相(当時)がキーウを訪問した際にも同行しています。また楽天としてもウクライナ人道支援の募金を行っており、ウクライナとの関係を築いています。
ブースにいた楽天社員の方に詳しい話を伺ったところ、そうした楽天とウクライナの関係構築の中で、今回のBrave1による展示を楽天が支援することになったそうです。範囲や規模の正確なところは分かりませんが、本出展に関連する費用を楽天が支援しているとのことです。
今回の出展を機に、Brave1としての出展企業が防衛省や日本の防衛企業と契約を結んだ際には、楽天が何らかの関わりを持つのかという点、つまり楽天としてマネタイズできているのかも伺いましたが、まずは日本の政府機関や潜在的なパートナーとの連携支援を視野に入れ、今後スタートアップ企業の日本進出を後押しする考えとのことです。
契約に結び付くのか?
興味を持ってブースを訪れている方は多数いましたが、実際に契約に結び付くのかはこれからの話であるため、今の時点では何とも言えません。
ただ、自衛官として防衛省の防衛調達に関わっていた者からすると、かなり難しいのではないかというのが私の感じた印象です。
展示されていた6社の内、最も成功しそうなのはLifesaverSIMの応急救護シミュレーションアプリだと思います。日本語化、自衛隊が使用する救護キットへの対応といったカスタマイズができれば、防衛省がすぐに導入する価値のあるものと思えました。