さらば、ミスター・プロ野球!
2024年の年末にNHKテレビで『みんなあなたが好きだった プレーバック 長嶋茂雄の世紀』という長嶋さん関連の番組が放送されました。
「引退してから50年。終戦で日本が焼け野原から復興を果たし、国民が未来に向かって生きていたとき、躍動感あふれるプレーに多くの日本人が励まされ、野球選手を超えたヒーロー」というようなコピーが付けられていて、現役時代の画像を交えながら有名・無名を問わず、長嶋さんと接したことのある人たちへのインタビューをまとめた好番組でした。
「みんなあなたが好きだった」というタイトルは、まさに長嶋さんのことをひとことで表わすにふさわしい言葉だと思います。
時の総理大臣の名前は知らなくても、昭和生まれの人で「長嶋」という名前を知らない日本人はいなかったことでしょう。知っているだけでなく、誰からも愛されたという証拠は、いわゆるアンチ・ジャイアンツの野球ファンは「巨人が負けて長嶋が活躍する試合」を願っていた、という事実が物語っています。
若干の日本国民を除き、いやいや若干どころか、いわゆる日本中の誰もが長嶋さんの笑顔をいとおしく思っていたのです。
プロ野球選手、いや日本人を代表する「華」、それは長嶋さんの笑顔でした。赤の他人にもかかわらず「燃える男」の炎のようなプレーがまぶしかった、長嶋さん。さようなら、背番号3!
今回、この原稿を書くにあたり愛する長嶋さんへさらに心を寄せたいという自分の気持ちを表わすため、敬意をこめて「いわゆる」「若干」という長嶋さんの好んだ表現を多用させていただきました。ありがとう、長嶋さん。
(編集協力:春燈社 小西眞由美)