そうした意味で私は、韓国への働きかけとしては次の3点が重要と考える。
「岸田・尹」時代のような関係構築を
第一に、石破茂総理と李在明氏との間で信頼関係を築き、日韓関係が困難に陥った時に首脳同士の対話で解決できるような仕組みを作ること。尹錫悦前大統領と岸田文雄総理(当時)との間で再開したシャトル外交などがこれにあたる。

第二に、日韓協力関係を確固たるものとし、尹錫悦前大統領の失脚後の政治空白の中で変化した日韓を取り巻く、より困難な状況に、共同で対処する体制を構築すること。これは国益を最優先した実用主義を標榜する李在明氏の意向に沿うものである。
第三に、日韓関係の基礎は国民間の友情である。尹錫悦政権時代のもっとも顕著な変化は、日韓でお互いを好きだと考える世代が育ち、歴史問題に対するこだわりが薄れたことである。こうした友情は日韓の文化交流、人的交流が育んだものである。
李在明氏は当面、国内の政治的分断と困難な経済状況の回復に注力する必要がある。大統領選挙中も日韓関係はあまり取り上げられなかったように、李氏の政治的な課題の中で日韓関係の比重は高くないだろう。いたずらに日韓の政治的対立を煽って、さらに困難な問題を持ち出すことは望まないはずである。この間に日韓が反目関係に回帰しないよう日本として手を打っておくべきである。