日韓は利害を共有する関係、互いの協力が不可欠との認識を確立せよ
李在明氏は、「両国は多様な面で共通の利害を持つ」と指摘、双方の利益にかなう関係性を重視する姿勢を示した。
李在明氏にとって急務となるのが経済停滞の打開である。韓国経済は今、中国製品のダンピング輸出とトランプ関税で大きな打撃を受けている。物価高に伴い、内需も低迷している。国民、特に若者にとって雇用状況は困難を極め、結婚・出産をためらう状況が続いている。李在明氏は、就任演説で景気回復を最優先事項として財政出動により「経済の好循環をよみがえらせる」と述べた。
こうした中、日韓は相互の依存関係が強く、経済構造も似通っているため、貿易の拡大を通じた利益も大きい。
また、トランプ氏との関税交渉などで協力できる面も大きい。李在明氏は、トランプ政権との関税交渉も「今すぐに直面する大きな課題」だと強調し、「一方だけが利益を得て他方が損をするのは外交でなく略奪だ」と指摘している。韓国は米国が誘致を進める造船業や自動車、半導体に強みがある。液化天然ガスなどのエネルギーの輸入でも米国に協力できる。経済構造が類似する日韓が手を組むことで対米交渉力を高めることもできるだろう。
対北朝鮮への安全保障の面でも、李在明氏は、韓米同盟に基づいた強力な抑止力で核と軍事的な挑発に備える」とする一方で、「対話と協力を通じて朝鮮半島の平和を構築する」と述べている。李在明氏は北朝鮮に対する融和的な姿勢で知られ、北朝鮮との対立を助長してきた尹前政権との違いを示すことで、北朝鮮との間の平和的な関係の回復を目指している。
ただし、北朝鮮は最近、ウクライナに1万4000人を派兵しロシアを支援することで、ロシアとの関係を強化、ロシアの強力なバックアップを得た。もはや韓国との歩み寄りを模索するより、米韓に北朝鮮を核保有国と認めさせ、韓国により強力な圧力をかけていくことを選択するだろう。
そうした中、在韓米軍2万8500人のうち4500人を削減する案が出ている。朝鮮半島に対する米国のコミットメントを縮小するには最悪のタイミングである。こうした米国の動きを抑えるためにも、日韓が共に米国に働きかけることが重要である。
韓国にとって、朝鮮半島の情勢を安定化させ、経済回復を急ぐためには日本との協力は不可欠である。今、日韓で反目している余裕はないとの認識を李在明政権にしっかりと埋め込むことが李在明政権の反日姿勢への回帰を防ぐカギとなるだろう。