尹錫悦氏をはじめ保守派は「根絶やし」か
この発言が何を意味するかは、5200万韓国人は重々承知している。尹錫悦前大統領と金建希(キム・ゴンヒ)夫人、それに尹前大統領の側近たちの一斉逮捕→監獄行きである。もしかしたらその先に、「国民の力」の解体をも見据えているかもしれない。

私は、大統領選挙期間中に3回行われたテレビ討論会で、李在明候補を誰よりも激しく「口撃」した李俊錫(イ・ジュンソク)候補(元「国民の力」代表で現「改革新党」代表)も、遠からず「標的」にされると見ている。
李在明大統領は、憲法を改正して、現在1期5年限定の大統領任期を、アメリカ式の2期8年に変えようとしている。そうなった時、再選を目指す自分の最大のライバルになるのが、現在40歳の若きスーパーエリート、李俊錫氏だからだ。
就任演説に話を戻すと、昨年秋に、韓国人作家として初めて、ノーベル文学賞を受賞した韓江(ハン・ガン)の言葉を、前半で引用した。
「過去が現在を助け、死者が生者を救う――いまやわれわれが未来の過去となり、明日の子孫たちを救う番だ」
そして、「偉大」というキーワードを強調した。
「植民地から解放された国の中で唯一、産業化と民主化に成功した国、世界10位の経済力に、世界5位の強力な軍事力を誇り、K(コリア)カルチャーで世界の文化を牽引する国。この誇るべき同胞の国が、素手の応援メガホンで、最高権力者の軍事クーデターを鎮圧するという民主主義の世界の歴史に新たな境地を開いているのだ。大韓民国のこの偉大な旅程を、大韓国民のこの偉大な力量を、全世界の人々は、驚嘆の目で見守っている」
李大統領は、「韓国」という国名よりも「大韓民国」という正式名称を愛用する。そこにも「自分たちの国は偉大だ」という自負が込められている。