男子5000mは森と佐藤がトップ争いを展開
大会4日目に行われた男子5000mは佐藤圭汰(駒大)と森凪也(Honda)が交互に引っ張るかたちでレースが進み、3000mを8分07秒ほどで通過した。その後はややペースダウンすると、残り600mで佐藤が仕掛ける。8人いた先頭集団は5人に絞られて、ラスト1周を迎えた。逃げ切りたい佐藤だったが、残り250m付近でトップから陥落。ラスト200mは森を含む3人が壮絶なラスト勝負を演じると、ガルビア・シン(インド)が13分24秒77で10000mとの2冠を達成した。森はキーラン・トゥンティベイト(タイ)にも先着を許して、13分25秒06で3位、佐藤は13分26秒77で4位だった。
初の国際大会で銅メダルを獲得した森だが、「金メダルを狙っていたので、一番は悔しさがありますね」とレースを振り返った。
「長距離レースは牽制し合うとタイムが上がりません。東京世界陸上の出場に向けてポイントを稼ぐためにも、3000mを8分07秒ぐらいで通過するのを目安に佐藤君と800mを2回ずつ引っ張ることにしました。3200m以降はお互いに金メダルを目指しましたが、ラストは前に出ることができず、実力不足、経験不足を実感しましたね」
それでもラスト1周(400m)はキャリア最速の53秒台で駆け上がっており、「東京世界陸上の予選通過を考えると少しは前進できたかな」とスパート力が増したことを感じている。
中大時代の5000mベストは13分56秒74だった森。トラックや駅伝では2学年下の吉居大和(現・トヨタ自動車)のような爆発力を発揮できなかったが、社会人になって大きく成長した。昨季は日本選手権5000mで2位に入ると、今季は4月の金栗記念5000mを制して、5月のセイコーゴールデングランプリ3000mでも日本人トップを奪っている。
高校時代に感じた「5000mで世界大会に出場したい」という“夢”が現実的な目標になってきた。
「高校で初めて5000mを走ったときに楽しいと思いましたし、ワクワク感が一番高かったんです。高校では3000m障害、大学では10000mやハーフマラソンにも出場しましたが、一番好きな種目は5000mでした。箱根駅伝があったので大学在学中は5000mのタイムを思うように伸ばすことができませんでしたが、社会人になって40秒ぐらいタイムを短縮できている。高校時代に描いていた夢が実現できるかなというところに来たので、今年は本気で狙いにいきたいです」
次のターゲットは7月上旬の日本選手権。「初優勝を勝ち取って東京世界陸上を決めたいと思っています」と森は意気込んでいた。
大会3日目は前日に悪天候のため中断した女子10000mの再レースを実施。廣中璃梨佳(日本郵政グループ)がサードベストの30分56秒32で銀メダル、矢田みくに(エディオン)が自己ベストの31分12秒21で銅メダルを獲得した。女子100mハードルは前日の予選で12秒89(+1.8)の大会新をマークした田中佑美(富士通)が13秒07(-0.1)で2位。男子走り高跳びは真野友博(九電工)が2位、女子円盤投げは郡菜々佳(サトウ食品新潟アルビレックスRC)が3位に入った。大会4日目は男子3000m障害で新家裕太郎(愛三工業)が銀メダルを獲得している。