リセールバリュー下落の要因は「都心からの距離」だけではない
リセールバリューが高かった上位の駅は【図表2】にある通り。最も上がったのは東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」の337.9%で、10年間で3.4倍近く上がったことになる。3位の東京メトロ南北線「新御茶ノ水駅」の322.5%まで3駅が300%以上で3倍以上に跳ね上がっている。

150%を超える駅は、やはり山手線内側の都心エリアに集中している。そして、その外側にリセールバリュー100%~150%未満の駅が広がっているイメージだ。
では、逆にリセールバリューが下がっている9駅がどこにあるのかといえば、都下や3県の中でも都心から距離が離れた場所で多くなっているが、そんなに辺ぴなエリアとも限らない。
・西武新宿線「本川越駅」
・小田急江ノ島線「長後駅」
・京王電鉄京王線「中河原駅」
・JR高崎線・秩父鉄道「熊谷駅」
・JR武蔵野線「東浦和駅」
・京成電鉄本線「江戸川駅」
・京成電鉄松戸線「前原駅」
・舎人ライナー「見沼代親水公園駅」
・JR常磐線「北小金駅」
このうちJR常磐線の北小金駅のみリセールバリューが80%以上90%未満で、その他の8駅は90%以上100%未満となっている。数年前までであれば1、2割の資産価値低下は当たり前だったが、マンション価格高騰時代のいまは際立った下落駅ということになってしまう。
だが、都心からある程度離れている駅でも、リセールバリューが100%以上の駅も多く、リセールバリューが下がっている駅の先に上がっている駅が続いているケースもある。それだけに、なぜ前出の9駅だけ下がっているのかには理由があるはずだ。
リセールバリューの下落駅の共通点として、同調査を行っている東京カンテイ市場調査部上席主任研究員・高橋雅之氏はこう指摘する。
「下落駅に共通している点として、10年前の分譲時に強気の値付けで周辺の相場より高い価格で売り出したため、伸びしろが小さくなってしまったということができます。だからこそ、周辺の駅が上がる中でも、取り残されてしまい、分譲時の価格より下がってしまったのです。その意味では、リセールバリューが下がったというより、本来の相場に戻っただけということが言えるかもしれません」