今回の大統領選で、国民の力の候補者となった金文洙(キム・ムンス)氏の選挙委員長を務める金容泰(キム・ヨンテ)議員は、建希夫人をめぐる疑惑について国民に向けた謝罪メッセージを出す計画を明らかにした。また金容泰議員は15日、尹前大統領に自ら離党を公式に要請し、尹前大統領は17日、「国民の力」を離党した。

「親密すぎる関係」が指摘されていた尹錫悦夫妻と統一教会

 22年の大統領選挙当時にも、共に民主党によって、尹錫悦夫妻と統一教会との「癒着説」が提起されたことがある。建希夫人がユン氏の斡旋で加平にある「天頂宮」(統一教会の本部)で韓鶴子総裁に会って選挙を助けてほしいと要請し、韓総裁は「韓日関係を改善して韓米同盟を強化する候補を選べ」とし、尹錫悦候補に投票するよう信者たちに携帯メールを送るよう指示したという内容だ。

 昨年10月には、尹前大統領夫妻と縁のあるもう一人のシャーマン・天空氏が天頂宮を訪問した事実が明らかになった。統一教会側は、尹前大統領夫妻とは無関係だという主張だが、これも検察の捜査対象になるものとみられる。

 15日、韓国の市民団体は統一教会の韓鶴子総裁とユン・ヨンホ元本部長をはじめ、元・現職幹部の4人を贈賄、背任、斡旋などの疑いで告発した。彼らは文宣明総裁の死で財産紛争に突入した韓鶴子氏と統一教会が韓国政界と捜査機関に莫大なロビーをしてきたと主張している。これには、尹錫悦政権に対するロビー疑惑も含まれている。市民団体は、統一教会が全氏を通じて尹錫悦夫妻に100億ウォンの政治資金を提供したと主張している。

統一教会の韓鶴子総裁(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

 一方、検察は尹前本部長が全氏を通じて建希夫人にブランド品を渡したことを統一教会の組織的なロビー活動の一環とにらみ、韓鶴子総裁に対する出国禁止措置を下すなど、統一教指導部に向けた捜査を本格化させている。

 尹錫悦前大統領夫妻を狙った韓国検察の捜査が、意外にも韓鶴子総裁をはじめとする統一教会の幹部らを相次いで韓国の留置場へ送り出すことになるかもしれない。