これに先立つ2023年10月には、同社初の試験衛星2基を載せたULAのアトラスVを打ち上げ、同年11月にその初期の試験通信に成功したと明らかにしていた。
巨人スターリンク追う、AWS連携で巻き返し
衛星インターネット市場では、イーロン・マスク氏率いるスペースXのスターリンクが圧倒的な存在感を示す。既に8000基以上の衛星を軌道上に展開し、125カ国で500万人以上の利用者を獲得。週1回以上のペースで打ち上げを重ね、軍事・安全保障分野での利用も進む。
プロジェクト・カイパーは市場参入で大きく後れを取ったが、アマゾンは世界的な顧客基盤やクラウドサービス「Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)」との連携といった自社の強みを生かし、巻き返しを図る。アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は、初期投資は大きいものの将来的には「意義のある営業利益と投下資本利益率(ROIC)を生む事業になる」と株主向け書簡で表明しており、長期的な収益源として期待を寄せる。
今後の課題は打ち上げペースの加速だ。米連邦通信委員会(FCC)は認可の条件として、2026年半ばまでに計画の半数に当たる1618基の衛星を配備するようアマゾンに求めている。目標達成のため、同社はULAのほか、フランス商業衛星大手のアリアンスペース(Arianespace)、ベゾス氏の宇宙開発会社である米ブルーオリジン(Blue Origin)、そして競合でもあるスペースXとも打ち上げ契約を結んでいる。2025年内には最大5回の追加打ち上げも視野に入れるなど、衛星網の構築を急ぐ方針だ。
アマゾンは2025年後半にも一部地域で商用サービスを開始したい考えで、今後の設備投資の動向とともに、スターリンクとの競争がどのように展開するかが注目される。