キャリアにとっていい教訓にも

 スポーツニッポンは5月15日付紙面に、メジャー取材経験も豊富な後藤茂樹デスクの「記者の目」を掲載。「必然の負傷 ド軍育成&起用法に疑問」との見出しで、中5日の先発登板を解禁したことなどを踏まえて「ここまでの育成、起用法には疑問が残る(中略)日本でも耐久性が課題だったが、時差のある移動も伴う過酷なメジャーで、23歳のルーキーに適正だったのか」と批判の矛先を球団に向ける。

 佐々木投手が新人王を獲得した場合などに得られる翌年のドラフト上位指名権が視野にあったかもしれないと指摘した。

 一方、サンケイスポーツのMLB担当、横山尚杜記者は同紙の5月15日付の「記者の目」で、「『違和感』を自分の中でとどめていたとすれば、不信を抱く球団関係者がいてもおかしくはない。『投手陣の現状を考慮』という先発陣の柱としての自覚を球団は現時点では求めていない」と厳しいトーンで、佐々木投手の報告の遅れを疑問視した。

 佐々木投手の現時点での復帰時期は未定だが、安間氏は「症状が軽いことが前提になるが、メジャー1年目の早い時期に根本的な原因を見つけることができれば、今後のキャリアを考えればプラスになる」と利点も挙げる。

 ここまで8試合に登板して1勝1敗、防御率4.72。「令和の怪物」のメジャー人生は始まったばかりだ。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。