価格高騰の要因、「あくまで流通面の問題」と強調する農水相
備蓄米放出の具体的な手順、放出量、価格などは2月14日にも明らかになる。
昨年8月下旬、大阪府の吉村洋文知事が放出を要請したが、当時の坂本哲志農水相は「コメの需給や価格に影響を与える恐れがある」と備蓄米放出には否定的で、実際、放出はなかった。
同時に「今後、新米が順次供給され、円滑なコメの流通が進めば、一定の価格水準にも落ち着いてくる」(2024年9月6日の坂本農水相会見)との見通しを示していた。それが大外れしたのである。
従来の方針から一転して今回、備蓄米放出を決めた江藤拓農水相は、1月24日の記者会見でこう語った。
「(米価は)今年になっても高い状況が続くのではないか」
「政府備蓄米の買い戻しの条件付きの販売を可能とすることを(有識者会議で)議論してもらう」
そして1月31日、農水省は備蓄米放出に向けた新制度の概要を発表。価格高騰が続く中で、大凶作などに限っていた放出方針を転換することとなった。2月4日の衆院予算委員会では、対応の遅れを追及された江藤農水相が「大いに反省はある」と答弁する一幕もあった。
備蓄米の早期放出を表明した江藤農水相(写真:共同通信社)
今回の方針転換について、江藤農水相は2月7日の記者会見で「石破総理から早急に進めるよう指示があった」と内情を明かしたうえで、
「今回は昨年と違って明らかにコメはあるのに、21万トンも集荷業者(の集荷数量)が集まらないというエビデンスが明らかになったので、いわゆる流通上のスタック(停滞)を解消するという意味での放出。価格が変動するかは私から申し上げることは避けさせていただく」
と話し、備蓄米放出の背景にある現状のコメの流通不足=価格高騰は、あくまで流通面の問題だとの認識を強調した。