企業版ファンミの成功例として挙げられるカゴメ
企業版ファンミの成功例として挙げられるのがカゴメだ。同社ではヘビーユーザーと継続的な接点を持つファンコミュニティの構築を目指してサイトやSNS、さらに工場見学などリアルな体験を通してファンマーケティングを持続し、“推し”の輪を大きく広げた。
カゴメのようなBtoCの企業に限らず、BtoBの企業も個人株主から共感を得るファンミのあり方を模索しているという。
株主総会にも変化の兆しが見られる。
コロナ禍を機に企業の株主総会のオンライン開催が拡大したが、コロナが開けて「リアルの場で株主様の顔を見ながら開催したい」という企業もあり、リアル、バーチャル、リアル+バーチャルなど、開催方式の多様化が進んでいる。
株主総会と言えばかつては菓子や自社製品などのお土産も定番で、“隠れ優待”と呼ばれていた。こうしたお土産目当てに総会をはしごする優待投資家も多かった。
「欠席した株主に不公平」といった観点から近年は廃止する企業が増えていたが、総会土産を復活する企業も少なくないという。これも、企業が個人株主とのタッチポイントを重視している証左と言えそうだ。
個人株主への対応が大きく変化する中、現物株への個人の資金流入拡大のネックとなっているのが、最低投資金額の高さだ。
国内の株式の売買単位は100株に統一されており、優待も大半は100株以上の株主が対象。トヨタ自動車を例に取れば最低27万8000円、優待人気の高い日本マクドナルドホールディングスに至っては同60万1000円(いずれも2025年5月2日の終値)もの資金が必要になる。
これでは投資する企業の数が限定され、銘柄を分散してリスク管理を行うことも難しい。
とはいえ、4月には東京証券取引所が上場企業に株式の最低購入単位を10万円程度に引き下げるよう求める方針を明らかにしていており、最低購入単位と同時に優待のハードルも下がれば、個人投資家の優待投資はもっと加速しそうだ。
ただし、気を付けたいこともある。