最大10万円分のビットコイン贈呈のgumi

 デジタルコンテンツの開発・運用を行うgumiは、500株以上を保有する株主のうち1130人に、1万円から10万円分のビットコイン(総額1600万円相当)を贈呈。人材派遣のパソナグループは、全株主に自社グループ施設の優待券を配布するのに加え、100株以上の株主から抽選で640人に宿泊券、ランチ券、オーケストラペアチケット、グルメセットなど21の商品をプレゼントする。

 個人投資家はこうした状況をどう見ているのだろう。

「東証改革で上場企業に『資本コストや株価を意識した経営』が求められ、配当を強化する企業が増えているのは歓迎だが、やはり優待は別物。自社製品やチケット、オリジナルグッズなどが送付される優待は、その先に企業の顔が見えて親しみを感じる」

 そう話すのは優待投資歴20年超の50代男性だ。男性は新NISAでも株価に対する「配当+優待の市場価値」の利回りを基準に優待投資を継続している。

 優待の人気銘柄ばかり20近くを保有する30代の女性投資家は、優待投資を“推し活”にたとえた。

「“推し”を応援する気持ちで株式を買っているので、ちょっとやそっとのことでは売ろうと思わない。人気の銘柄だと株価も上がっていて、一旦手放すと買い戻すのが難しくなる。なので長期株主の優遇制度が広がっているのはうれしい」

“推したい”個人株主に対して、“推されたい”企業も増えているという。

 信託銀行には株主名簿の管理や配当金の支払い、株主対応に関するコンサルティング、株主総会の運営支援といった証券代行業務がある。その担当者は、「最近はアクティビスト(物言う株主)対策だけでなく、個人株主に対してもどういった施策が有効かを模索するコンサルニーズが高まっている」と話す。

 個人株主とのファンミーティング(ファンミ)を開催する動きもある。ファンミとは、アーティストやアイドルなどがファンと双方向でやり取りをするイベントのこと。企業としては個人株主とのエンゲージメント(対話)を通して、多様な意見を吸収し、経営姿勢や商品、サービスに共感を得たいと考えているようだ。