中学校の数学
さて、これが中学に進むと、扱う数の範囲が広がって、まず「整数」に拡張されます。
これはつまりマイナスの数が出るということです。
・・・ー3、ー2、ー1、0、1、2、3・・・
リンゴをマイナス1個とか、フィギュアをマイナス5体といっても、イメージはしにくいかもしれない。
しかし、電車の駅を進行方向に進むのを1駅、2駅と数え、すでに通過してきた駅をマイナスで数えれば、そんなに難しいことではない。
「数直線」上で数を数えれば、特段の困難は本来ない。
こういう思考のための「アナロジー」、類推ですね。実感をもって想像できる対象がない状態で、小手先の計算ばかり教えても「概念的な困難」に直面するのも、これまた理の当然です。
また中学では「代数方程式」というモノを教え、その解法を通じて「√」ルートという演算が出てきます。
例えば「2次」方程式の解法を通じて「平方根」という概念が登場し、開平演算というものも習います。
「∛」とか「∜」も出てくる可能性がありますが、中学生とはあまり縁がないかもしれない。
で、この「ルート」あたりになると、現代日本の一般の大人は、日常生活では縁が薄くなっている。
これが戦前だと、欽定憲法のもとで男子は国民皆兵でしたから、敵地の偵察とか測量とか、下士官あたりになると誰もが手計算の可能性があり、きちんと教えておく必要があったと考えられます。
ここではそういう話ではなく、正確なアナロジー、類推として「√」をどのようにして「数直線」のように「可視化」すればよいかを考えてみましょう。
人類の歴史を振り返れば図形の「対角線」の長さとして、古代ギリシャ以来の人類はこれを作図してきました。
一辺の長さ1の正方形では、対角線の長さはルート2

以下では「ルート」の出てくる演算を用いる「応用問題」を考えてみます。
問 1リットル入りの牛乳パックを設計したい。 物流の都合で高さは30センチ(以下)と決められている。
1) パックの底面を正方形でデザインしたい。高さを30センチとして一辺の長さはどの程度にすればよいか?
2) 底面が40センチ×50センチのカゴに最適な形で敷き詰めると、何本入るか?
こういう計算は、現実の生活局面でも登場しうるものです。これをさらに、本物っぽくすると、
3) カゴに厚さ3ミリの格子状の仕切りを設け、出し入れを便利にしたい。ぎちぎちに詰めると取り出しにくくなる。高さの30センチを微小量変化させてもよいので、最適な牛乳パックを設計してみよ。
なーんてすれば、もう実際に使えるわけで、家具でもロボットでも自分で考えて作ろうとしたら、こういう応用はいくらでも必要になってくる。
あえてここでは答案例は示しませんので、どうか親子で考えてみていただけたらと思います。
また、ルートに関連して、中学校から高校にかけては、2次方程式に関連してもう一つ「ルート・マイナス1」として虚数単位というモノが登場します。
「複素数」という新たな「数」が導入されますが、このご利益は中学生にも高校生にも、およそ教えられていません。
実際、複素数がなければ蛍光灯もつかなければエレクトロニクスもないので、これについては回を分けて記してみたいと思います。