「まさか、自分がこんな風にあからさまに差別を受けるとは思っても見なかった」とGACKTはいうが、もちろんだれだって受ける。あからさまではないが、陰湿な差別である。

 それにかれら欧米人にとっては、日本人も中国人も韓国人もみなおなじ顔をしたアジア人なのだ。

 GACKTは「どの国に行っても、アジア人は未だに差別を受けることがある。昔、20年前にフランスに来た頃はその差別も本当に酷かった。アジア人に対する扱いがあからさまに酷かった。ここ最近になってマシにはなってきていたが。こんな風に未だに残ってるんだな…と思うと笑いが止まらなくてな」と語っている。

 おなじ10年前の2015年、岡崎慎司はレスター・シティ(英サッカークラブ)でプレイしていた。しかし岡崎の同僚のバーディーが、地元カジノで東洋系の男を「ジャップ!」と罵ったというので、ひとしきりマスコミで問題になった。

 今年、レアル・ソシエダ(スペインのサッカークラブ)の久保建英もやられた。

 1月、敵地でのバレンシア戦で、相手のサポーターから「中国人、目を開けろ」と野次られたのである。久保は「僕自身は別に人種差別を受けたからといってどうってことはない」といっているが、そのサポーターは出禁となった。

半世紀前の記憶では…

 いまから50年以上前、21歳だったわたしはヨーロッパを10か月間、ヒッチハイクをしたことがある。当然、ばりっとした服装はしてない。ジーパンに登山用のリュックサック姿である。

 金がないから、もちろん高級な店には入らない。ちょっとしたホテルにも泊まれない。それがよかったのか、あからさまに差別された記憶がないのである。