このように“差別”を訴える一方で、神谷は「前提として、パリは本当に素敵な街で旅行や『お客様』として過ごすには素敵だと思う。基本みんな優しく親切です」とバランスをとっている。

 それでも「ただ差別される時は過激で苛烈だよ」とか、「『差別は無い』と主張する人はカーストにすら気付けてない」といい、最後は「日本はやっぱり一番だね」と落ち着くところに落ち着いている。

 結局、神谷がなにをいいたいのかよくわからない。

 なにやら“差別”めいたことを体験したのは確からしい。だが、そのわけのわからない内容と、とんちんかんで大げさな結論がマッチしておらず、論旨不明なのだ。

こっちはあきらかな人種差別

 この見出しを読んで、まだこんなつまらないことをやるやつがいるのかと思った、というのは、10年前にミュージシャンのGACKTがおなじパリで人種差別に遭ったという記事を思い出したからである(GACKT、パリのホテルで人種差別に遭う? アジア人は「ここに座るな、向こうに」、2015.3.31、J-CASTニュース)

 パリの空港近くのホテルで1泊したGACKTは、翌朝、朝食を取ろうと1人でホテル内のビュッフェに入った。

「自分以外に客はいなかったため入り口近くの席に座ろうとすると、慌てた様子で駆け付けた店員に奥の席へ座るよう促されたという。『ここに座るな…みたいな感じ』『外の景色が見たかったボクからしたら入り口の景色が見える席が良かったな…とは思ったんだけれどな』と振り返る」

 キョトンとしたGACKTは、促されるままに奥の席へ移動した。こういうとき、たいていの人間はキョトンとなり、そうするだろうと思う。

 ところがその後、白人の客たちが店に入ってきた。そして彼らはGACKTが着席を拒否された席にふつうに次々座っていったのである。GACKTは 「あれ? あの席…駄目だったんじゃなかったっけな…」といぶかしく思う。

 次にアジア人の客がやってきた。しかし入り口近くの席に座ろうとしたかれらは、GACKTとおなじように、店員に奥に座れと指示された。その後に入ってきた中国人の団体客も全員が奥の席に通され、気がつけばGACKTの周りは「ほぼ中国人と韓国人でパンパン」になっていたというのである。

 これはあきらかに人種差別である。