テスラを率いる起業家イーロン・マスク氏は先ごろ投資家に対し、2025年6月までに本社のあるオースティンでロボタクシーサービスを展開する予定だと語った。加えて、現在テスラ車に搭載している高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」について、米西部カリフォルニア州などの米国内の多くの地域で「無人」でも利用できるようになるとし、その時期は2025年中だと説明した。ただ、それがロボタクシーサービスなのか、テスラ車のオーナーが有料利用できる新機能なのか、あるいはそれらとは別のサービスなのか、詳細は明らかにされず、投資家は混乱した。

 テスラは2024年10月に開催したイベントで、自社設計ロボタクシーの試作車「CyberCab(サイバーキャブ)」を初披露した。だが、米CNBCによれば、CyberCabはいまだ生産段階に入っていない。

ウェイモのロボタクシー、週当たり20万件超の利用

 ロボタクシー市場で単独トップを走るウェイモはこのほど、新たに米国の10都市以上で、試験運行を始めると発表した。まず、西部ネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州サンディエゴで試験サービスを開始する。同社は現在、カリフォルニア州トラッキー、中西部ミシガン北部、東部ニューヨーク州北部、そして東京で試験運行を行っている。この試験段階では、セイフティードライバーが公道でウェイモ車両を運転し、主要地域の地図データを取得する。

 ウェイモは米国でセイフティードライバーが乗らない無人ロボタクシーサービス「Waymo One」の展開を拡大している。2024年12月には、米南部フロリダ州に進出すると発表した。まず、マイアミの市街地に車両を導入し、2026年に一般提供を始める。

 現在、ウェイモが単独で自動運転技術による旅客輸送サービスを展開している都市は、カリフォルニア州のロサンゼルスとサンフランシスコ、アリゾナ州フェニックスの3都市である。米AP通信によれば、その利用件数は各都市の合計で週当たり20万件超に達した。2024年8月時点の10万件から2倍に、2年前の1万件から20倍に増えた。

リフトやアマゾン傘下企業も市場参入を準備

 配車サービスでウーバーの競合である米リフトも、イスラエルのモービルアイの技術を搭載したロボタクシーを早ければ2026年にテキサス州ダラスで始める。リフトのCEOであるデイビッド・リッシャー氏のX(旧ツイッター)への投稿によると、丸紅がモービルアイ搭載車両を保有し、資金も提供するという。

 このほか、ソフトバンクグループ(SBG)が出資する英国の人工知能(AI)スタートアップ、ウェイブ・テクノロジーズ(Wayve Technologies)は、サンフランシスコで自社開発の自動運転車をテストしている。米アマゾン・ドット・コム傘下の米ズークス(Zoox)は、ハンドルやペダル類を備えない車両の公道走行試験を米国の複数都市で行っている。