「恫喝外交」は今のところは効果的

「就任初日にウクライナ戦争をやめさせる」という公約は、2月28日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領をホワイトハウスに呼び寄せて実現しようとした

 何のことはない。

 トランプ氏にとっては「盟友」(?)のウラジーミル・プーチン露大統領の要求を盛り込んだ和平提案を突き付けた形の恫喝外交だった。

 今やトランプ氏の「攻撃犬」と酷評されるJ・D・バンス副大統領と一緒になって、小国の戦時大統領に「これまでの援助にもっと感謝せよ」「この案をのまなければ援助を停止するぞ」と脅したのだ。

Zelenskyy's White House meeting with Trump and Vance unravels into a heated clash 

 ホワイトハウスを追い出されたゼレンスキー氏は、欧州の「仲間たち」の元に走ったものの、4日後にはトランプ氏に謝罪の書簡を送り、署名することが決まっていた鉱物資源協定を材料にトランプ氏の調停交渉に応ずる姿勢を見せた。

 もっとも西大西洋条約機構(NATO)加盟国はトランプ氏の「恫喝外交」に怯えて、軍事力強化を急ぐなど、トランプ氏にとっては思う壺の結果が出ている。

 国際軍事外交の動向を的確に見通すことで定評のあるメディア、GZERO のイアン・ブレマー氏は、トランプ・ゼレンスキー口論劇の直後、今後の成り行きについてこう見ていた。

「トランプ氏は、ヨーロッパ人の価値観すべてに同意はしない、君たちの喧嘩に無条件で助っ人はしない、我々は自分の価値観を守る、自分の国益を優先すると言い出した」

「それではヨーロッパはどうか。ヨーロッパも米国抜きではロシアに立ち向かえない、と思っている」

「となれば、頭を下げてでも、米国の力に頼らざるを得ない」

 ブレマー氏は、ホワイトハウスから放り出されたゼレンスキー氏が数日後に「韓信の股くぐり」を強いられるのをお見通しだったのだ。

What Trump-Zelensky fallout means for Ukraine war - GZERO Media

「変化求める」若年層の60%はトランプ支持

 ただ勢いのいい「トランプ革命」は、表面上はメリットばかりのようだが、裏を返すと不安材料が目立ってきた。

 目下のところ、トランプ氏への支持は支持率48.4%、不支持率47.8%と真っ二つだが、注目されるのは若年層の支持率が60%もあること。

 良きにつけ悪しきにつけ、トランプ氏の政治姿勢に80%が「変化」があることを期待している表れのようだ。(「良い方向に変化」が35%、「悪い方向に変化」が40%)

 特に、ウクライナ戦争を巡っては、「対ウクライナ追加軍事支援に賛成する」と答えた人は51%(2022年時点では72%)、「反対する」は49%とウクライナ支援疲れが立証されている。

 ただ、対ロシア観では「敵」と見る人は34%、ロシアに対し「友好的な人」は34%、「非友好的な人」は32%と拮抗している。

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