憲法裁での弾劾判決を急ぐ共に民主党

 共に民主党は、憲法裁での弾劾判決を急いでいる。国会の弾劾訴追団は3日の第2回弁論準備手続きで、訴追案から内乱罪の立証を撤回、戒厳令の違憲・違法性に絞ってきた。昨年12月14日採決の訴追案には「内乱に該当する行為」が入っていた。これは審理の迅速化を図る法廷戦術である。訴追団は「憲法裁が刑法違反かどうかに埋没するのを防ぐため」(刑法違反かどうかは捜査機関による内乱罪容疑捜査で行う)としている。

 しかし、大統領側の代理人は「内乱罪を除いてしまえば訴追事由の中身がなくなる、弾劾訴追が間違っていたことになる」と批判し新たな国会議決を受けるべきと主張している。

 戒厳令については、憲法77条に大統領の権限として認められており、今回の戒厳令がその条件を満たすかは議論の余地があるにせよ、国会が戒厳令は不適切と議決した後、尹大統領は直ちに撤回しており、そこは憲法の規定に則っている。内乱罪を除いた訴追事由はそれほど強くないともいえる。

 それ以上に共に民主党が懸念しているのは、4月18日に革新系の憲法裁判官2人の退任が予定されていることだろう。弾劾の決定には憲法裁判官6人の賛成が必要であり、崔相穆(チェ・サンモク)大統領代行に2人の任命を求め実現したものの、同日には2人が退職し、再び6人となる。しかも退職するのは革新系である。今後、尹大統領弾劾に対する世論の動向次第では、弾劾に反対する裁判官が出てくる可能性があり、その場合には尹大統領は復職し、政権交代は霧散する。

12月30日、務安空港での航空機事故の犠牲者に献花する崔相穆大統領代行(写真:AP/アフロ)
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