シュルツ氏「報告書をエネルギー戦略に生かすべき」
IEDOのシュルツ氏は、今回の報告書をエネルギー戦略に生かすべきだと指摘している。
同氏は、「報告書が強調しているのは、実際に最も急速に成長しているもの、つまり米国における電力需要の最前線にあるのが、AIデータセンターという新しい需要であることだ」と述べた。
その上で同氏は「電力網の柔軟性と回復力の向上を図るエネルギー省の取り組みに役立つ可能性がある」とし、報告書の意義を強調している。データセンター拠点における、①長期間稼働可能な蓄電施設の建設、②次世代原子力発電の小型モジュール炉(Small Modular Reactor、SMR)、③先進的な地熱発電、といった新技術の商用化に活用が期待できるという。
バークレー国立研のエネルギー・環境政策部門研究員であるアーマン・シェハビ氏と同氏のチームはデータセンターの動向をより綿密に追跡するために、リポートを毎年または半年ごとにまとめることを提唱している。
シェハビ氏は「エネルギー使用量がどのくらいか、そしてより重要なことに、エネルギー使用量増加の原因が何かを示すことで、どこを効率化すべきかを考えることができる」と指摘する。
今回の報告書では、米国内で急成長する AIデータセンターのエネルギー効率戦略をこれまで以上に研究し、解決策を見いだすことの重要性を提言している。
「トランプ次期米政権下でも再エネへの移行続く」
一方、ロイター通信は別の記事で、米国の再生可能エネルギーへの大きな移行は、トランプ次期米政権下でも続く、とする三菱UFJフィナンシャル・グループ米州トップの見解を伝えている。
米州MUFG ホールディングスのCEO(最高経営責任者)であるケビン・クローニン氏はロイター通信とのインタビューで、「トランプ次期大統領の反再生可能エネルギー的な発言が戦略の変更を促すことはない」と述べた。「新政権は化石燃料に対してより積極的な姿勢を取るだろうが、それが再生可能エネルギーの消滅を意味するわけではない」(同)
同氏は、「データセンターのキャパシティーは2030年までに倍増すると見込まれており、信頼性の高い電力の確保が戦略上ますます重要になってくる」とも付け加えた。